BOOK(小説)の記事
奪取
![]() | 奪取〈上〉 (講談社文庫) (1999/05) 真保 裕一 商品詳細を見る |
個人的オススメ度:★★★★☆
読んでほしい方:長い夜にハマる本を読みたい方。
長編へっちゃらの活字中毒の方。
■ネタバレしない程度のストーリー紹介
雅人の借金を返済するために道郎が考えたこと。
それは紙幣判別機のみを騙す偽札を作り上げること。
手塚道郎・保坂仁史・鶴見良輔と名を変えながら、
機械だけでなく人すらも騙せる本物の偽札作りに挑んでいく。
但し騙すのは悪人だけ。
[ポイント]
ちょっとばかり古い本です。今読むと余計に感じてしまうかも。
それでもオススメしたい一冊(もとい二冊。わたし上下巻を持ってます)。
かなり長いです。さくさく読みたい方は避けた方がよいかも。
活字中毒の方で、まだ読まれていない方。これからの夜長にどうぞ。
[内容と登場人物]
手塚道郎にとっては自販機もゲーセンの機械もATMも似たようなもの。
人の目にはガラクタにしか見えないモノでも、
機械の目ごとき簡単に騙せる。今日もちょちょいと小銭を稼ぐ日々。
そんな折り、親友の雅人がラチられた。
1260万という膨大な借金を背負って・・・。
小銭稼ぎじゃ追っつかない。何かでかいことをしなければ。
[感想]
下巻はこちら。
![]() | 奪取〈下〉 (講談社文庫) (1999/05) 真保 裕一 商品詳細を見る |
子どもの頃に、自販機などで飲み物を買うと、
なんでかオモチャみたいなコインがお釣りに出てくることがありました。
それもしばしばあったので、なんだろこれ?と思っていた小学生の頃。
(ええ、そんな純粋な時代がわたしにもあったのです)
小学生高学年の頃に「ああ、これは偽物なんだ」となんとなくわかり、
機械はどこで判別してどこで騙されてるんだろう・・・とぼんやり思いつつ、
なんとなく使わずに大事に置いてたりしました。(´<_` )<どっか行ったけど
周辺のぎざぎざがあるわけでもなく、裏表にぬめっとした膨らみがあるだけ。
機械って単純なのだなあ・・・と子ども心に思ったものです。
(1970年代の話しなので、今の自販機だったら無理だと思う)
でまあ、この作品。ほぼ十年前ということで、
内容的には古い部分もあるのだけれど、技術面を知るのが小説じゃない。
人だ人。すべて人の物語。と言うわけで、この一冊はオススメです。
真保氏の本と言うと「読みにくい」という印象を与えるかもしれません。
こんな風に紹介しているわたしも、最初は「読みにくそうだなあ」と思いました。
それでも相方に、
「最初の数頁さえこなれたら、後は嵌まるから!」
と勧められ読みましたです。
『ホワイトアウト』しかり、『朽ちた樹々の枝の下で』しかり、
『トライアル』しかり・・・。うむむむむ。恐るべし真保氏。
文体が合わない・読みにくそうと思われてる方。
最初の五頁でいいです!そこが抜ければ嵌まること間違いないです。
オススメでございます。ちなみに上下巻の方がお得です。ハイ。(´<_` )
ビッグタイム
![]() | ビッグタイム [宝島社文庫] (宝島社文庫 C は 1-3) (2008/07/05) ハセベバクシンオー 商品詳細を見る |
個人的オススメ度:★★★★☆
読んでほしい方:ギャンブルが適度に好きな方。
ギャンブル依存症になっている方。
■ネタバレしない程度のストーリー紹介
和泉は自称・スロプ。
いつかはでかいことをやってやる。いつもそんなことを考えている。
けれども負け続ける日々。底をつく金。かさばる借金。自転車操業。
そんなある日、毎日のように“6”をつもってる男がいた。
ビッグボーナスに続くギャンブル一色の作品。
[ポイント]
ギャンブルが嫌いな人は読まない方がよいと思う。
たぶん読んでも意味がわからんばかりか嫌悪感で終了しそうだから。
競馬・競艇・オートレース・パチンコ・スロット・etcetc。
この中のひとつでも実際に自分がしたことのある人なら面白いと感じること請け合い。
感情面での動きなんてすごくリアルに描かれていて、ドキッとさせられる。
う〜ん。わたしはすごく楽しみながら読みました。面白かった♪
[内容と主要人物]
あれからどれくらいの時間が経ったのだろうか・・・。
パチスロコンサルタント会社を経営している東。
彼が売る情報は「立ち回り情報」。つまりは「どの台が6なのか」。
ひょんなことから社員となった和泉は、情報提供と電話応対ばかりの日々。
社長である東はいまだに懐に入ることを許してくれていない。
この情報はどこから仕入れているのか?
どうしてこの情報が仕入れられるのか?
肝心なところはするりと交わされ「いつかな」と言われながら、
悶々としていたある日のこと。
情報漏れの可能性を調査せよとの東からの厳命。
そこで出会ったのは、橋本という男だった。
[感想]
ビッグボーナスを読んでください。是非是非。
オチは前半の最初の部分ぐらいでだいたいわかっちゃうのだけど、
そこじゃないのだこの作品は。嗚呼!言いたい!けど言わない!!
ぐらっぐらの感情部分がリアルに描かれていると思います。
6はつもれるとホントオイシイんですよね。
吉宗とかミリゴとかホント脳汁モノなのですよね。
という部分のリアルさではなくて>それもリアルなのだけど
それぞれの過去がある人同士が交わるときのあの不思議な感覚が、
ギャンブルを縦軸にしてきっちり描き出されていると思います。
ビッグボーナス
![]() | 宝島社文庫「ビッグボーナス」 ハセベ バクシンオー (2005/02/14) 宝島社 この商品の詳細を見る |
個人的オススメ度:★★☆☆☆
読んでほしい方:スロットをたまに打つ方。
スロットをときどき打つ方。
スロットを頻繁に打つ方。
■ネタバレしない程度のストーリー紹介
パチスロ攻略情報情報会社を取り仕切る東。
売ってる情報は、「二束三文にすらならない」ガセネタばかり。
「スロットバカにつける薬はなし」
と東たちは大金をふんだくるのみ。
そんな中、本物の攻略ネタを耳に・・・。
[ポイント]
「このミステリーがすごい」略して「このミス」大賞受賞作。
スロットを打ったことのない人には、
リール制御や子役判別などの用語はちょっとわかりにくいかも。
スロットを打ったことのある人にとっては、
馬鹿馬鹿しくも笑ったり切なくなったりできる一冊。
[内容と主要人物]
攻略情報会社「トリプルセブン」を取り仕切る東。
トリプルセブンが順調に業績を伸ばしてきたのは、
実は東自身がスロットメーカー『ダッシュ電子』の元社員であったから。
そのため、ダッシュ電子に今もいる同僚から本物のネタを仕入れることもできる。
そんな中、大手ライバル会社「東映企画」が
『ダッシュ電子』の機種の攻略ネタを売りさばいていることを耳にし、
名前を偽って、そのネタを購入。・・・ネタは本物だった・・・!
『ダッシュ電子』に今も勤める上司・黒岩と同僚・加藤。
「トリプルセブン」に接近してくる謎の人物たち。顛末はいかに・・・?
[感想]
ミステリーという割には、ミステリー要素はほとんどないのだけれど、
展開は「このミス大賞」に選ばれるだけあって、面白い。
ただし、スロットを打ったことのない人のために、
文庫化に際して、何箇所も書き直しをさせられたらしい。
スロットに詳しい人にとっては、ややくどすぎる説明だったり、
スロットにうとい人にとっては、読んでもやはりわかりにくいかな、と思う。
それでも、この作家さんは、ギャンブル・裏街道系の小説で、
今後も面白い作品を書いてくれそう・・・・と期待しています。
ジョッキー
![]() | ジョッキー (集英社文庫) (2005/01) 松樹 剛史 商品詳細を見る |
個人的オススメ度:★★★★☆
読んでほしい方:競馬好きの方。
■ネタバレしない程度のストーリー紹介
中島八弥は三十手前のフリーの競馬騎手。
千葉厩舎を出てからも、“営業”らしいことをしないまま、
千葉先生が取ってきてくれる騎乗依頼で口に糊する生活。
そんな生活の折り、あるサラブレッドの依頼を受けるが・・・。
[ポイント]
競馬ファンの方、笑ったり泣いたり歯がゆかったり、
楽しめること間違いなしの一冊です。
競馬好きのわたしが言うから間違いありません。(´<_` )
トレセンの風景描写や馬房のお馬さんの様子。
そして競馬にかかわるすべての人たちの描写。素晴らしい一冊です。
[内容と登場人物]
フリー騎手の八弥は、生き方は投げやりだけれども、
決して馬に対しては投げやりではない。やはりプロだ。
一頭一頭の馬には、多くの厩務員や調教師、医師の想いが託されている。
八弥はその想いを胸に抱いて、手綱を取る。
手綱を取りながら、流れる風景の中、馬の鼓動がきこえる。
サラブレッドは自分の走りを知っている。騎手はそれを読み取るだけ。
そんな八弥に有力馬の騎乗依頼が来るが・・・。
さまざまな馬、そして人間の生き方に胸がつまります。
競馬に詳しくない方でも、小説好きの方であればオススメです。
[感想]
いやあ・・・。この本を忘れてましたよ。
八弥のあの仕事以外の生き方の不器用さもまたいいけれど、
風景描写や馬のちょっとした仕草や視線などの描写がとてもいい。
これで新人か? すごすぎるんじゃないのか?
ほええ・・・と最後に嬉しい吐息をつきたい方。
オススメの一冊でございます。
殺人の門
![]() | 殺人の門 東野 圭吾 (2006/06) 角川書店 この商品の詳細を見る |
個人的オススメ度:★★☆☆☆
読んでほしい方:(特にすすめたい人はいない)
■ネタバレしない程度のストーリー紹介
裕福な家庭に生まれた田島和幸。
父は歯科医をしており、活動的な母はその手伝いをしている。
家には和幸が物心つくころから寝たきりであった祖母がおり、
彼女を介護するための家政婦も雇っている。そんな裕福な家庭。
だが祖母が亡くなった頃から不穏な噂が近所に流れ・・・。
[ポイント]
『手紙』のあの「生きていくしかない」という弟の気持ちが、
「愛するものを守るために生きていかなければならない」へと、
しんしんと積もるように少しずつ変化してきた過程とか。
『容疑者Xの献身』の彼が、淡々と恐ろしいほど機械的計画的にすすめてきた
一連の行動の背後にあるあまりにも人間臭い感情の流れとか。
根本はそれらに通じるものがあると思います。
[内容と登場人物]
田島和幸という平凡だが裕福な家庭に生まれ育った主人公の物語。
幼い頃から目の当たりにしてきたオトナたちの行動。
税理士の上でケツを揺らす家政婦。
父の上で喘ぐ家政婦。
一方で、「生」から少しずつ離れていくように和幸には見える祖母の姿。
遊ぶための金がほしい。どうしてもほしい。
金を盗むために忍び込んだ祖母の部屋では、
すでに死後硬直が始まりかけた祖母の姿が・・・。
まるで和幸を叱るかのように目を見開いたまま、目当ての金の入った財布を握りしめている祖母。
時は流れ・・・また平凡な生活が始まるはずの矢先、
祖母の死を堺に近所でも学校でも不穏な噂が流れており、
平凡に見えた家庭は離散していく。でも和幸の人生はまだ終わらない。終われない。
[感想]
この本は実はここに載せる本じゃないのかもしれん。(´<_` )オイ
倉持修という同級生に対して抱いてきた殺意を、
実際に「行動にうつしたい」「行動にうつす」までの過程が描かれてます。
主人公は「殺人の門」をくぐれるのだろうか・・・という本です。
内容は非常に重いです。
たいてい東野氏の本を読むと(上に挙げた本とかね)、
こういう感情にさせられるわけですが、今回も似たような感情に。
東野氏やっぱりうまいわ・・・と思ってたら、
レビューされてる感想は評判悪いですね・・・。(´<_` ;)
まあ人の感想なんて、どうでもいいですし、
わたしのこのblogの感想も人から見たらどうでもいいものだ。うん。
金がほしい。いい女も抱きたい。いい人生を送りたい。
誰も田島のことは笑えんと思う。
ドロドロとした腐臭がするような感情というのは、
誰にでもあるものだと思うし、あるのが健康なことなのではないかと。
それに変に蓋をしちゃったり、
自分は田島みたいな愚かな人間ではないと言いきれる方が不健康だ。
田島はホントどこにでもいそうな人間です。
その意味では、容疑者X(この人は天才)とはまたちがうのですが、
ある感情をずっとひたひたと忍ばせながら生きていく人間の姿が
この作品でも描かれていると思う。そう人間の姿。
でもまあ、フツーの人には評判悪いようです。
わたしは面白かったのだが。(´<_` )<というわけで掲載
シリウスの道
![]() | シリウスの道 藤原 伊織 (2005/06/10) 文藝春秋 この商品の詳細を見る |
個人的オススメ度:★★★★☆
読んでほしい方:小説好きの方。
長編ミステリー大好きな方。
藤原伊織の小説に抵抗のない方。
■ネタバレしない程度の内容紹介
東京にある大手広告代理店の営業部に勤める・辰村祐介。
幼少期を大阪で過ごした祐介には、
誰にも言えない「秘密」があった。
ともに「秘密」を抱える勝哉と明子。
25年前の「秘密」に関係する一連の出来事。
[ポイント]
藤原氏のこれまでの作品に出てくる「名わき役」が出てきます。
「てのひらの闇」や「ひまわりの祝祭」などを、
読まれてからの方がぐっと楽しめるかと。
藤原氏の作品の主人公は、たいてい「大人になりきれない男」でして、
ここらあたり好き嫌いがきっぱり分かれるところだとも思います。
「藤原伊織がつくる世界・作品」と個人的には思っているので、
大好きな作家さんのひとりでもあります。
[内容と登場人物]
25年前の「秘密」を抱えつつ生きていく三人の物語。
主人公・辰村祐介から見た、現在から過去、そして現在という構成。
幼なじみだった明子からのひさしぶりの連絡、そして相談。
ここ最近、明子の元には、あの「秘密」絡みの怪文書が送られてくる。
一体、誰が、何のために・・・?
消息不明の勝哉・・・。
やっと探し当てた勝哉はあの頃の勝哉ではなかった・・・?!
[感想]
いやあ、気持ちいいですね。
藤原氏の作品は、主人公が淡々と乾燥している人が多く、
一方で、心の奥の奥底に爆弾を抱えていることも自覚している、
そんな感じの主人公ばかりです。
これが嫌だと言う人もいるかもしれませんが、
いやあ、これこそ伊織ちゃんの真髄でしょ、と思います。
ぼくは勉強ができない
![]() | ぼくは勉強ができない 山田 詠美 (1996/02) 新潮社 この商品の詳細を見る |
個人的オススメ度:★★★★☆
読んでほしい方:是非是非、現役高校生の方(男女問わず)。
■ネタバレしない程度の内容紹介
17歳の時田秀美くん。
勉強はできないが、女にはもてる。
女にはもてないが、勉強ができるのとどちらがいいかって?
もちろん、女にもてる方がいいに決まってるじゃん。
でも・・・。
[ポイント]
実は、わたしが高校生の教え子に送る小説だったりします(実話)。
そいでもって、山田詠美の作品では、「放課後の音符」もオススメ。
これも是非高校生に読んでほしいなあ・・・。
で、大学に入ったら「晩年の子供」。
大学のオベンキョやバイトも大事だけど、読んでほしい作品群。
[内容と登場人物]
破天荒な母親と女好きの祖父との三人家族の秀美。
桃子さんという素敵な年上の彼女もいる。
生きてくのに特に不平は、ない。
でも最近、なんだかいろいろ考えるんだ・・・。
[感想]
この作品には、番外編として「眠れる分度器」が収められています。
秀美くんの小学生時代のお話。
あんまりね、この作品はだらだら感想を言うものじゃないなあと思います。
たぶん、一人ひとりが何かを感じ取って思い出すはず。
COMMENT
私も中学を卒業する子にこの本をよく贈ります。
「AtoZ」に,秀美くん&秀美くんママがほんのちらっと登場してるのはご存知ですか?
登場するなんとか先生(小学校の先生)がどうにも好きになれず、
「何年かして読んだら感想が変わるのかな?」
と思い、何年かして読んでもやはり好きではなかった・・・。
でも、ああいう先生多いように思ったり・・・。
知らなかったです〜〜〜。
と言う前に「A to Z」を買ってません。(´<_` )
放課後の音符を送った子どもに、「A to Zもおすすめだよ〜」と教えてもらったことだけ、
思い出しました。今度書店でチェックしてみます〜♪


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